和菓子や小豆の神様たち

日本では「八百万の神」といってあらゆるものに神様が宿っていると考えられ、日々感謝や願いを込めて手を合わせてきました。
お菓子の神様や、あんこの神様ももちろんいらっしゃいますよ!

今回は日本全国にいらっしゃる、そんな神様を少しご紹介してみたいと思います!

菓子の神様│元祖 田道間守(タヂマモリ)

菓子の元祖*田道間守(タヂマモリ)
日本で、菓子の神様として真っ先に名があがるのは田道間守(「古事記」では多遅摩毛理)ではないでしょうか。
日本最古の歴史書「古事記」「日本書紀」によると、第11代垂仁天皇は田道間守に、常世の国(古代日本で信仰された、海の彼方にあるとされる異世界のこと)にあるといわれている「非時香木実」(トキジクノカグノコノミ)を探して持ち帰るように命じたそうです。
「非時香木実」とは時を定めずに良い香りを放つ木の実のことで、今でいう橘の事です。
橘は柑橘類の一種でみかんのような実をつけ、一年中つやつやの葉を繁らせる常緑樹で、縁起の良い植物とされています。
橘は永遠の象徴され、日本書紀によると当時130歳を超えていたとされる垂仁天皇(長生きですねぇ…)が不老不死の妙薬として橘を求めさせたといわれています。
天皇の命を受けた田道間守は「非時香木実」を探すためにはるばる海を渡り、苦労の末にやっと持ち帰りました。
しかし、何と出発から10年という歳月が流れていたために垂仁天皇は…、という悲しい結末。
天皇に「非時香木実」を届けられなかった田道間守も嘆き悲しみ亡くなってしまいました。
古来「菓子」とは果物を指す言葉でした。
田道間守は果物である橘を日本へはじめて持ち込んだ人物として、菓祖、菓子の神様とされ全国の菓子業者から厚い信仰を集め、兵庫県豊岡市にある中嶋神社に祀られています。

餅の神様│米餅搗大使主(タガネツキノオオオミ)

餅の元祖*米餅搗大使主(タガネツキノオオオミ)
11代垂仁天皇の時代から時は経ち15代応神天皇の時代へとうつると、
生のお米を水に浸し、つき砕いて固めた「しとぎ」という食べ物を応神天皇に献上した人がいました。
喜んだ応神天皇はその人物に「米餅搗」という名を贈りました。
大使主とは、大臣(おおおみ)と同じで、官職を表す言葉です。
「しとぎ」とは餅の原型のことで、古来から神々へのお供え物として欠かせないものだったため、今もなお餅の元祖として崇められているというわけです。
また、米餅搗大使主は遣隋使でおなじみの小野妹子や、平安時代前期の文人・小野篁、篁の娘とも孫とも言われている美人で有名な小野小町、能筆化として知られている貴族・小野道風など、歴史に名を残す偉人を多く排出した小野氏の祖先とされています。
滋賀県大津市小野にある小野神社の例祭「シトギ祭」には、日本の餅づくりの祖といわれている米餅搗大使主が祀られていてことから、全国の菓子業界の人達が参拝をしに来るそうです。

まんじゅうの元祖*林浄因(リンジョンイン)

まんじゅうの元祖*林浄因(リンジョンイン)
日本であんこ菓子の代表といってもいいくらいの存在、まんじゅう。
そんなまんじゅうを日本で最初に作ったのは南北朝時代に中国の杭州から渡来した林浄因という人です。
林浄因の故郷である饅頭(まんとう)の具は肉でした。
しかし殺生を嫌う日本で、神様へのお供え物として肉を使用することはNGでした。
そこで、小豆を煮詰めて味付けしたあんを入れましたことが日本のまんじゅうのルーツとなっています。
これを「奈良まんじゅう」として売り出すと大人気!
後村上天皇にまんじゅうを献上するととても喜ばれ、宮女を賜り、結婚式の際には紅白のまんじゅうを配ったとか。
おめでたい時に紅白まんじゅうを配る風習もここにありました!
これらの故事から林浄因はまんじゅうの神様としてまつられるようになり、製菓業者からの信仰を集めることとなったそうです。

小豆を生んだ五穀の神様*大気都比売神(オオゲツヒメノカミ)

小豆を生んだ五穀の神様*大気都比売神(オオゲツヒメノカミ)
「古事記」の中には、あんこの原料である小豆が生み出される神話があります。
須佐之男命(スサノオノミコト)が食べるものに困っていた時に、大気都比売神は自分の口や鼻から(←えっ?!)取り出した材料で料理してあげました。
その様子を見てしまった須佐之男命はけがれたものを食べさせられたと怒ってしまい、大気都比売神を殺してしまったそうです。
すると大気都比売神の身体から蚕、稲、粟、小豆、麦、大豆が生まれたそうです。
あんこの原料である小豆を生み出したとされる女神様こそ大気都比売神なんです!

小豆島の別名*大野手比売神(オホノデヒメノカミ)

小豆島の別名*大野手比売神(オホノデヒメノカミ)
日本の国土の国生み神話は知ってますか?
「古事記」や「日本書紀」に記されているのですが、
伊邪那岐(イギナギ)と伊邪那美(イギナミ)という男女の神様が結婚して次々と島を生んでいったとされています。
イザナギ、イザナミという読み方が馴染みがあるかもしれないですね!
淡路島からはじまり、四国、隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州を生み、日本列島の主要となる八島を生み出した後に、続けて小豆(アズキ)島を含む六島を生み出しました。
現在は小豆(ショウド)島と呼ばれているこの島の別名が大野手比売なのです。
小豆栽培において大野手比売を守り神として祀る神社もあるんですよ!

神社っていくだけで身も心も引き締まり、不思議なパワーがみなぎってきませんか?
たまには神社めぐって神様たちにご挨拶をしに行くのもいいですね!
神木と並ぶと自分のちっぽけさを実感して頑張ろうって気持ちが湧いてきます!

書いている人

深沢 貴之
深沢 貴之
職業「三代目 卯之助」/深澤製餡所 代表/サプリパーク代表/自分達がつくったもので、ホッとしたひとときや元気になるきっかけを感じてもらえたら嬉しいな/好きな食べ物 ちくわ 特にちくわ天/日本ちくわ天協会会長/フロリダちくわ天部部員/趣味 スキューバダイビング ・きっとゴルフ/エクスマ80期/フロリダ族  

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