業界の常識は徹底した自動化だけれど、ボクは、そんな時代だからこそ、あえてアナログのことをしようと思う。

業界の常識は徹底した自動化だけれど、ボクは、そんな時代だからこそ、あえてアナログのことをしようと思う。

当たり前の話だけれど、時代の流れはAI。

最近の展示会に行くと、あまりにも機械の発展が目覚ましく、今まで業界の七不思議の一つである『按配の世界』、感覚の世界と言った方が分かりやすいかな。この感覚を覚えるのに.10年やって初めて半人前という世界でしたが、その感覚の機能が付いた機械がお金を払えば手にすることが出来る時代。

湿度や温度の変化も対応して、ヒューマンスキルによるミスやクレームも無くなり、機械の指示通りにすれば、その日から熟練された職人さんに早変わり。機械ですから、文句も言わず、毎日安定した商品をつくってくれるんですよね。自分が業界に入った時には、そんなことを考えられなかった。世の中の変化の速度って本当に時が経つほど加速していってるように感じるなぁ。

安定というメリットの裏側に、特徴が無いと言う現実。

同業者の方々も、新しい機械の入れ替えをするタイミングが来ると、AI機能がついた機械を導入している会社さんが多い。というか、そういう会社がほとんど。人材不足や教育するお金や時間も必要ないので、トータルで見るとかえって安い投資になる。なんか、ものづくりも投資ビジネス化してきてる。それに誰がやっても同じ商品レベルになり、失敗も無くなるので、コストも下がり安売りも出来ますし、売りやすい。

しかし、同じ機械を導入した同業者はA社もB社も何も変わらない。安価で安定していて使いやすさは感じるけれど、他社との違いや、その会社ならではの特徴も感じることが、どんどん出来なくなってくるのかなと思う。確かに今の時代には、商品に特徴があるという事よりも、もっと商品以外の特徴があれば、商品は他社と変わらずでも、お客様から選ばれやすい事実もある。しかし、それじゃあつまらない。自分達らしさや、ボク達だから出来ることって無くなってしまうよね。

ハイテクの時代だからこそ、あえて反対側に行くこともありだと思う。

餡子だけでなく、今の和菓子のほとんどは機械化されて、大量生産で流通販売されるモノの方が多い。しかし、そんな時代だからこそ、『按配の世界』感覚だけを頼りに、あえて昔の製法でつくる和菓子には、自分達の思い入れもあるし、気温や湿度によってかえる薪釜の温度や時間、そんなことを一つひとつ、ただボタンを押して製造する物よりも、他社では真似出来ない、あっ!正確にいうと、他社は、やりたくないと感じている手仕事をつくることが価値になる時代なのかなと思う。大量生産は出来ないけれど、そんな和菓子屋さんがあったら面白いと思うしね。

人間が扱いやすくするためだったり、流通させるために合わせた『ものづくり』よりも、昔ながらの、その商品が一番いい状態になるための『ものづくり』をしていくことが、とっても楽しいんじゃないのかなってボクは思う。

ビジネスとして考えたなら、効率化して沢山製造して販売した方がいいに決まってると思う。しかし、やはり商品に合わせた『ものづくり』をして、最高のタイミングで食べてもらうこと、そしてそれを食べてもらた時に喜びを感じてもらうことは最高の仕事の報酬だと思うんだよね。そんな仕事をしている方が楽しいしね。儲かるよりも楽しいことの選択があってもいいじゃんって思う。

書いている人

深沢 貴之
深沢 貴之
職業「三代目 卯之助」/深澤製餡所 代表/サプリパーク代表/自分達がつくったもので、ホッとしたひとときや元気になるきっかけを感じてもらえたら嬉しいな/好きな食べ物 ちくわ 特にちくわ天/日本ちくわ天協会会長/フロリダちくわ天部部員/趣味 スキューバダイビング ・きっとゴルフ/エクスマ80期/フロリダ族  

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